飲食業・接客サービス業の給料、年収は?労働、残業時間は?基本データを紹介

業界研究・職種研究給料,接客業,飲食業,年収,残業時間

今回のポイント
  • 飲食業・接客サービス業の給料や年収、労働時間や残業時間などの基本データを紹介
  • 飲食業・接客サービス業の平均年収は290万円と低水準、過去10年間の推移では若干の増加傾向
  • 平均勤続年数は7年未満となっており、長続きする職業とは言えない
  • 飲食業・接客サービス業に従事する方は、マネージャーなどの管理する立場を目指そう
【最新】飲食業・接客サービス業の給料、年収は?労働、残業時間は?基本データを紹介

飲食業・接客サービス業の労働データを紹介

年末年始や卒業、入学シーズン、夏休みなどその季節季節で活発に利用されている飲食店や宿泊施設はみなさんにとってとても身近な存在です。

普段の生活の中でも飲食店や宿泊施設を良く利用しているという人も多いのではないでしょうか。

それらの飲食業や接客サービス業に携わっている方も世の中にはたくさんいます。

では、職業としての「飲食業」「接客サービス業」と聞くとみなさんはどんなイメージをお持ちでしょうか?

私個人の印象としては、やはり一番最初に思い浮かんでしまうものは”ブラックな業界”というイメージですね。

近年話題になっているブラック企業ですが、その中には数多くの飲食チェーン店や宿泊施設が含まれているのも事実です。

年収や給料はいくらぐらいなんだろう?

労働時間や残業時間はどれくらいなんだろう?

労働環境は良いのだろうか?

こんな疑問が沸いてくるのも当然だと思います。

今回紹介する飲食業・接客サービス業の基本データ

そこで今回は、飲食業・接客サービス業に関する以下の基本データを紹介していきます。

・飲食業、接客サービス業の年収(過去10年分)

・飲食業、接客サービス業の労働時間、残業時間(過去10年分)

・飲食業、接客サービス業の労働者数推移(過去10年分)

・飲食業、接客サービス業の平均年齢推移(過去10年分)

そして、「年収」と「労働者数推移」と「平均年齢推移」については、企業規模別のデータも紹介します。

さらに、最新の統計結果である平成28年のデータを使って年齢別の飲食業・接客サービス業の「年収」と「労働者年齢分布」も見ていきましょう。

また、ここで使用している飲食業・接客サービス業のデータは厚生労働省が毎年発表している「賃金構造基本統計調査」の”給仕従事者”のデータに基づくものです。

給仕従事者とは、「飲食店の店主、店長、店員」や「旅館やホテルなどの宿泊施設の接客係」などの個人に対するサービス業に従事する人のことを表しています。

※この給仕従事者の中には、小売店やデパート、スパーなどの販売員は含まれません。

その統計データを使ってみなさんに分かりやすく理解していただくために、数値をグラフとして可視化し見やすくまとめてみました。

それでは、飲食業・接客サービス業の具体的な年収や労働時間、残業時間などの基本データの数値を順を追って見ていきましょう。

飲食業・接客サービス業の最新の詳細データ(年収、月収、労働時間など)

まずは飲食業・接客サービス業の過去3年分の最新データを表でまとめました。

 平成26年平成27年平成28年
平均年収
(万円)
278290291
平均月収
(万円)
21.822.622.8
年間ボーナス等
(万円)
16.717.917.8
所定内労働時間
(時間/月)
173173172
残業時間
(時間/月)
141514
総労働時間
(時間/月)
187188186
平均年齢
(歳)
38.438.438.7
勤続年数
(年)
6.76.76.5
労働者数
(人)
102,280118,750115,180

データ解説

平均年収が300万円以下となっており、平均月収は20万円強となっています。

そして、年間のボーナスも16~18万円と他の職業に比べだいぶ低くなっています。

総労働時間は190時間弱であり、これは他の職業よりも長い労働時間です。

勤続年数は、ここ3年間を見ても7年未満で人の入れ替わりが激しい業界であることが分かります。

また、10万人以上の労働者が飲食業・接客サービス業に従事しているようです。

考察

給料や年収、労働時間に関するこれらのデータでは、ここ最近3年間の中でとくに目立った変化はないようです。

しかし、このデータで特に気になるポイントは、やはり年収や月収の低さではないでしょうか。

労働時間に関しても、サービス残業が蔓延している業界ですし、休日などの休みも普通の会社員に比べ少ないです。

飲食業・接客サービス業に関わっている人は裏ではもっと多くの時間を労働に費やしていることは容易に想像がつきます。

飲食業・接客サービス業の年収

飲食業・接客サービス業の給料、年収(過去10年)

データ解説

上のグラフは、飲食業・接客サービス業に従事する人の平均の年収を表したグラフです。

緑は全体(男女合計)、青は男性、赤は女性の年収をそれぞれ表しています。

過去10年間の年収(全体)は約270万円~290万円となっています。

男性の方が女性に比べだいぶ高い年収となっており、320万円前後です。

一方女性の年収は、約230万円~250万円です。

平成27年と28年には年収の増加がみられ、過去10年間で一番高い年収水準となっています。

考察

ここ2年間で年収が増加している背景には、飲食業・接客サービス業が世間からブラック業界であると揶揄されたことが要因になっていると考えられます。

ブラック企業として認識されてしまうことはBtoC(Business to Consumer )の企業にとって大ダメージとなってしまうので、飲食店やホテルなどを経営している企業は少しでも労働条件を良くしようと改善を図ったはずです。

その改善結果の1つが、この平均年収のアップとして表れていると考えられます。

飲食業・接客サービス業の労働時間と残業時間

飲食業・接客サービス業の労働時間、残業時間(過去10年)

データ解説

このグラフは飲食業・接客サービス業の過去10年間の労働時間と残業時間を表したグラフになります。

青が所定内の労働時間、赤が残業時間を表しています。

所定内労働時間は170時間強、労働時間は10~15時間で推移しています。

考察

この労働時間に関するデータにはもちろんサービス残業などの時間は含まれていないので、若干信憑性に欠けるかもしれません。

飲食業や接客サービス業では、他の業界にくらべて実際の労働時間以外にも働いているという人が数多く存在します。

また、この業界は休日や労働時間帯が不定期なことが多く、実際の労働時間よりも体に掛かる負担は大きくなります。

ですので、このデータは参考程度に留めておいてください。

飲食業・接客サービス業の労働者数推移

飲食業・接客サービス業の労働者数推移(過去10年)

データ解説

このグラフは飲食業・接客サービス業の労働者数推移を示しています。

青が男性、赤が女性の労働者数となっています。

男性は5万人弱、女性は6~8万人で推移しており、徐々にこの業界に従事する労働者の数が減っていることが分かります。

最も労働者数が多い平成21年では13.5万人となっており、平成28年には11.5万人まで減少しています。

考察

まず、このグラフから読み取れることは男性よりも女性の労働者のほうが多いという点です。

この記事の最初に、”給仕従事者”のことを飲食店または宿泊施設などに関わる人のことであると説明しましたが、その他の女性特有の職業である美容関係に携わっている人も給仕従事者の中に分類されるのでそのためだと考えられます。

次に目に付くのは、平成26年の労働者数の大幅な減少です。

これは私の個人的な見解になってしまうのですが、この原因として考えられることはその時期に「ブラック企業」という言葉が世間に浸透し、国民全員がその存在を認識したからだと考えています。

前の年の平成25年は、「ブラック企業」という言葉が流行語大賞を受賞するほどにニュースや新聞などで世間を騒がせた年です。

その中には数多くの飲食業や接客サービス業を経営する会社もブラック企業として名を連ねられました。

その後の平成27年と28年に労働者数が若干回復したのは、飲食・接客サービス業界の労働環境や労働条件の見直しが少しは進んだことが背景になっていると思います。

飲食業・接客サービス業の平均年齢推移

飲食業・接客サービス業の平均年齢推移(過去10年)

データ解説

上記のグラフは飲食業・接客サービス業の労働者の平均年齢推移になります。

緑の棒グラフが全体の平均年齢(男女合計)、青の折れ線グラフが男性、赤の折れ線グラフが女性の平均年齢を示しています。

また、棒グラフ上の数値は全体の平均年齢を表しています。

過去10年間の全体の平均年齢はほぼ横ばいでどの年も40歳弱となっています。

女性労働者の平均年齢は下降傾向にあり、男性の平均年齢は上昇傾向にあります。

平成19年には、飲食業・接客サービス業に従事している女性労働者の平均年齢は40歳を超えていましたが、近年は39歳前後で推移しているようです。

考察

接客サービス業では男性よりも女性のほうが活躍できる場が多いことから、労働者数を見ても分かるとおり女性の労働者の方が男性よりも多くなっています。

そのことから、幅広い年齢層の女性が給仕従事者として働いており、平均年齢が男性よりも高くなっています。

 

【企業規模別】飲食業・接客サービス業の年収

飲食業・接客サービス業の企業規模別の給料、年収(過去10年)

データ解説

これは企業規模別の飲食業・接客サービス業の年収を表したグラフです。

青の棒グラフが1000人以上の規模、赤が100~999人の規模、緑が10~99人規模の平均年収です。

1000人以上の企業規模の平均年収が頭ひとつ抜けており300万円強で推移しています。

100~999人規模と10~99人規模の平均年収はここ2、3年ではほぼ変わらず約270万前後となっています。

考察

このグラフからも分かるとおり、飲食業・接客サービス業の平均年収は低いです。

大企業に所属できたとしても、ボーナス込みで年収300万円強です。

この業界の仕事は、悪く言えば誰にでもできる仕事です。(特別なスキルや資格もほとんどの場合いらないですし。)

そのために、企業からは良い待遇を受けることは厳しいのかもしれません。

【企業規模別】飲食業・接客サービス業の労働者数推移

飲食業・接客サービス業の企業規模別の労働者数推移(過去10年)

データ解説

このグラフは、企業規模別の労働者数推移を表しています。

折れ線グラフの青が1000人以上、赤が100~999人、緑が10~99人の企業規模ごとの労働者数推移です。

10~99人規模の企業と100~999人規模の企業の労働者数は減少傾向にあります。

一方で、1000人以上規模の企業の労働者数は若干の上昇傾向にあります。

考察

全体の労働者数が減少する一方で、1000人以上規模の企業は労働者数を増やしています。

この増加傾向は2020年の東京オリンピックがくるまでは続くと予測できます。

飲食業や接客サービス業は外国人向けのサービスを展開しやすいですし、1000人以上規模の大企業はオリンピックに備えてさらなる人員増強をはかるのではないかと考えられます。

【企業規模別】飲食業・接客サービス業の平均年齢推移

飲食業・接客サービス業の企業規模別の平均年齢推移(過去10年)

データ解説

これは企業規模ごとの飲食業・接客サービス業の平均年齢推移をあらわしたグラフです。

1000人以上規模と100~999人規模の企業の平均年齢は、35歳前後で推移しています。

10~99人規模の企業は42、43歳で推移しています。

考察

10~99人規模の企業の平均年齢が圧倒的に高くなる要因は、小規模経営をしている飲食店や旅館などが数多く含まれるからです。

旅館などの宿泊施設は比較的労働者の年齢が高くなりますし、小料理屋を営んでいる中高年の方をイメージしてくれれば簡単に想像がつくかと思います。

【平成28年】年齢別の飲食業・接客サービス業の年収

飲食業・接客サービス業の給料、年収(年齢別)

データ解説

このグラフは平成28年の飲食業・接客サービス業の年齢別年収を示したものです。

緑の棒グラフが全体の平均年収で、その上の緑の数字はその年収の数値です。

また、青が男性、赤が女性の平均年収を表しています。

男性の年収は40~54歳でピークを迎え、約400万円となります。

一方、女性の年収は30~34歳でピークを迎え、約290万円となります。

考察

他の業界に比べ年収の増加率がとても低くなっています。

飲食業・接客サービス業では年齢とともに習得できるようになるスキルに限りがありますし、仕事上で年齢ごとに担う役割にさほど大差が生まれません。

そのことが要因となり、年収の増加はさほど見込めない状況になっています。

【平成28年】年齢別の飲食業・接客サービス業の労働者年齢分布

飲食業・接客サービス業の労働者年齢分布

データ解説

このグラフは、平成28年の飲食業・接客サービス業の労働者年齢分布となります。

青が男性の労働者数、赤が女性の労働者数を示しています。

20~24歳の労働者数が最も多くなっています。

特に、その年齢層の女性労働者の数は顕著で、20~24歳の14000人の女性が給仕従事者として働いています。

考察

特別なスキルや資格もいらないことから、若い世代の労働者数が圧倒的に多くなっています。

飲食業界や接客サービス業界では、女性の活躍の場が男性よりも多いことから、とくに若い世代の女性の労働者数が多くなっていると考えられます。

まとめ|飲食業・接客サービス業に従事するなら管理する立場に

今回は飲食業・接客サービス業の年収や労働時間、残業時間、労働者数、平均年齢を紹介しましたが参考になったでしょうか?

記事中でもさんざん述べましたが、飲食業や接客サービス業では良い労働環境や労働条件はなかなか見込めません。

それでも接客に興味があるのでこの業界に携わりたいと考えている方は、飲食店やサービス業を展開している母体の会社への就職を目指すことをおすすめします。

ここ最近3年間の平均勤続年数が7年未満であることからも、現場で長期間活躍することができるとは考えにくいからです。

飲食業・接客サービス業に従事したいと考えている方は、ぜひ、管理する立場として現場を盛り上げることを目標としてください。

飲食業・接客サービス業を目指している方へ

さいごに、ここで紹介した飲食業・接客サービス業の年収や労働時間、残業時間などの基本データはあくまで全体の平均値だということを忘れないで下さい。

それぞれの企業や部門部署によって同じ飲食業・接客サービス業でも業務内容が違ったり、それにともなって年収や労働時間、残業時間などの労働環境ももちろん変わります。

ここで紹介したデータに信憑性がないというわけではけっしてありませんが、これらの情報は参考として抑えておくのが良いかと思います。

また、これらの基本データについてはやはり、採用に係わる人間の方がダンゼン詳しいです。

就活や転職活動中の場合、あなたにできることは以下のとおりです。

就活・転活サイトを利用しているケース:

  • 求人票や四季報を毎回しっかりと確認する。
  • 求人票の情報に信憑性が持てなかった場合は、サイト運営者等に問い合わせてみる。

就職・転職エージェントを利用しているケース:

  • 紹介があった企業についての年収や労働時間、残業時間などの基本データは毎回忘れずにキャリアカウンセラーに確認する。
  • キャリアカウンセラーの説明を鵜呑みにするだけでなく自分自身でも調べてみる。

これらのことを心がけて、就活や転職活動を進めていきましょう。

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